琴ヶ浜と琴姫伝説

仁摩町の琴ヶ浜の紹介と、琴ヶ浜にまつわる不思議な伝説の紹介

琴ヶ浜は、仁摩町の海岸に約1.6kmに渡って続く砂浜です。
1996年に、『日本の音風景百選』と『日本の渚百選』に選ばれました。

夏は海水浴で賑わいを見せ、冬は日本海側の冬の厳しさを、その荒波でもって伝えます。
穏やかな日には、ただ浜に座り、のたりのたり寄せては返す波に悠久の時を想い、さらに目を転じては眩い白砂青松の浜を満喫するのも楽しみのひとつ。昔は、満月の月明かりとイカ釣り船の漁火で泳ぐ子どももいたようです。

今でも、毎年の盆には、里帰りした若者や近郷近在から人々が集い、古い歴史や伝統を今に伝える盆踊りが夜を徹して踊られます。

参考:鳴り砂の資料[PDFファイル]・・・ここでは、琴ヶ浜の鳴り砂の資料をダウンロードできます。

琴ヶ浜と琴姫伝説 冬の晴れた日の琴ヶ浜

琴姫伝説

長門壇ノ浦の源平合戦で平家が敗れ去った寿永4年(1185年)春のこと、激浪に洗われて痛々しい姿になった1艘の小舟が馬路の浦へ漂着しました。その中には、みめうるわしい姫が、気を失って倒れていました。その優しい腕には、しっかりと琴が抱かれていました。

姫は村人達の手厚い介護により、ようやく元気になり、若き命は助かりました。姫は平家の一門でありました。哀れな平家の最期に寄るところ無き身を、情け厚いこの馬路に留めることにした。それから、せめて村人たちへのお礼にと、日毎夜毎、姫が奏でる琴の音が、浜一帯にやさしく、時には悲しく、白浜に響き渡りました。奏でる琴の音色は村人たちをはげまし、なぐさめたといいます。村人たちは姫を心から慕いうやまうようになりました。

しかし姫は、恐ろしかった戦いを思い、また都の生活をしのび、いまの運命のはかなさを嘆かずにはいられませんでした。そうして1年、春がめぐってきたある日のこと。漁から帰った漁師たちは、いつも響く琴の音が聞こえないことに気付きました。これをおかしく思い姫の住家を訪ねてみると、美しい姫は舟の中で琴を抱いて倒れていました。ちょうど、この浜に流れ着いたときと同じ姿で、すでに息絶えていたのです。

村人たちは、姿美しく心優しかった姫の死をいたみ悲しみ、浜一帯が見下ろされる丘に、琴と一緒に葬りました。翌朝、漁に出ようとした漁師たちが浜を歩くと、琴を奏でるような美しい音が鳴りました。村人たちは、きっと姫がこの浜に心を残していったに違いないと言い合い、この浜を琴ヶ浜と呼ぶようになりました。